薬王寺(徳島)の厄払い方法を知っておきたい|厄坂と護摩祈祷の手順

薬王寺の厄坂を上る参拝ルートと手順 寺院・巡礼ガイド

徳島県美波町にある薬王寺は、四国八十八ヶ所第23番札所であるとともに、全国に名を知られた厄除けの根本祈願所です。弘仁6年(815年)に弘法大師が42歳の厄年に自身と衆生の厄除けを祈願して厄除薬師如来を刻んで以来、1200年以上にわたって厄除けの祈願寺として信仰を集めています。

「薬王寺の厄払いって、具体的に何をするのだろう」という疑問は、初めて参拝する方が最もよく持つ疑問のひとつです。厄坂に小銭を置く作法から護摩祈祷の申込み方法、随求の鐘まで、参拝の流れを一通り整理しておくと、当日迷わずに動けます。

この記事では、薬王寺の厄払いの3つのアプローチ、厄坂の段数と作法の詳細、護摩祈祷の種類と料金、遠方からの申込み方法、そして参拝後に受けられる御朱印(納経)の手順までを順を追って解説します。

薬王寺の厄払いとはどのようなものか

薬王寺の厄除けは、境内に設けられた厄坂・護摩祈祷・随求の鐘という3つの要素で構成されています。どれかひとつだけを行う参拝者も多く、3つをすべて組み合わせる方もいます。それぞれの位置づけと関係を先に把握しておくと、当日の参拝動線がスムーズになります。

薬王寺が厄除けの根本祈願所とされる理由

薬王寺の公式案内によると、この寺は神亀3年(726年)に行基菩薩が聖武天皇の勅願を受けて建立したことに始まります。その後、弘仁6年(815年)に弘法大師が42歳の厄年を迎えた際、平城上皇の勅命によって厄除薬師如来坐像を一刀三礼で刻み、自身と衆生の厄除けを祈願して本尊として安置しました。

高野山真言宗の別格本山として、平城・嵯峨・淳和の3代にわたる天皇からも厚い帰依を受けた記録が残っています。寺号「薬王」は「薬の王」を意味し、山号の「医王山」は「無限の生命を伝える医の王」を意味します。厄除けと医療的な加護が開創の時代から一体のものとして信仰されてきたことが、この寺の特徴です。

現在は年間約100万人の参拝者が訪れる寺院となっており、四国遍路のお遍路さんだけでなく、厄年の祈願のみを目的に全国から足を運ぶ方も少なくありません。

厄坂・護摩祈祷・随求の鐘の3つの違い

薬王寺の厄払いの手段は、大きく3種類あります。それぞれの性格を把握したうえで、自分の参拝スタイルに合ったものを選ぶとよいでしょう。

厄坂への賽銭は、境内の石段を一段ずつ上がりながら薬師如来の真言を唱えて小銭を置いていく作法です。個人で行う参拝の中心的な所作で、追加費用はかかりません。護摩祈祷は、僧侶が火を焚いて願主の名前を読み上げて祈願する儀式で、寺務所への申込みが必要です。随求の鐘は、大随求菩薩の真言を唱えながら数え年の数だけ鐘を叩く作法で、境内を巡る中で行います。

【薬王寺の厄払い3つの手段】
・厄坂に小銭を置く:個人で行う参拝の基本作法
・護摩祈祷を申し込む:僧侶による祈祷、来山または郵送対応あり
・随求の鐘を鳴らす:数え年の数だけ鐘を叩く境内の作法

厄年以外でも参拝できるか

薬王寺の厄坂は、厄年の方だけが対象の場所ではありません。薬王寺公式サイトの案内でも、参拝者は一段ごとに賽銭をあげながら登ると説明されており、厄年に該当しない方も同様に参拝できます。厄年の方は厄に対応した段数の坂(女厄坂33段・男厄坂42段・還暦厄坂61段)が特別に意味を持ちますが、年齢に関わらず参拝の作法は同じです。

護摩祈祷についても、厄除祈願に限らず、家内安全・交通安全・商売繁盛・病気平癒などさまざまな願意で申込みができます。厄年以外の参拝者でも、祈願目的を記入して申し込むことが可能です。

  • 厄坂への参拝は厄年以外でも行うことができます
  • 護摩祈祷は厄除け以外の願意でも申込み可能です
  • 随求の鐘も厄年に関係なく、すべての参拝者が打てます
  • 参拝自体に入場料はなく、境内は無料で巡れます

厄坂の参拝作法を段階ごとに理解する

薬王寺を訪れた際、最もよく目にする厄払いの光景が厄坂への賽銭です。仁王門をくぐってから本堂を経て瑜祇塔(ゆぎとう)へと続く参拝動線の中に、3種類の厄坂が連続して設置されています。段数と位置関係を事前に把握しておくと、境内をスムーズに歩けます。

3つの厄坂の段数と位置

薬王寺の境内には、女厄坂・男厄坂・男女還暦厄坂の3種類の石段があります。薬王寺公式サイトの案内では、女厄坂は33段、男厄坂は42段、男女還暦厄坂は61段と明記されています。女厄坂は仁王門をくぐってすぐ正面に現れる最初の石段で、女性の大厄33歳にちなんだ段数です。

女厄坂を上がると絵馬堂があり、続いて男厄坂が本堂へと続きます。男厄坂は男性の大厄42歳にちなんでいます。本堂の奥からさらに上ると、61段の還暦厄坂があり、その先に薬王寺のシンボルである瑜祇塔(昭和38年建立、高さ29m)があります。3つの坂すべてに賽銭を置く場合は合計136段分の小銭が必要です。

各段の下には『薬師本願経』の経文が書かれた小石が埋め込まれており、単なる階段ではなく経典そのものを踏みしめながら上がる構造になっています。

賽銭の置き方と薬師如来の真言

薬王寺の案内では、厄坂の参拝は「薬師如来の真言を唱えながら、一段ずつ小銭を置いていく」作法として説明されています。薬師如来の真言は「おん ころころ せんだり まとうぎ そわか」で、声に出して唱えるのが基本ですが、心の中で唱えても問題ありません。

賽銭として置く硬貨に決まりはなく、1円玉が一般的に多く使われています。すべての段に置く必要があるわけではなく、置き方のルールよりも真言を唱えながら丁寧に上がることの方が大切です。仁王門近くの事務所で両替に応じてもらえるので、小銭の準備に不安がある場合は参拝前に確認しておくとよいでしょう。

絵馬堂の石臼の作法

女厄坂を上りきった先の絵馬堂には、石臼が据えられています。薬王寺公式サイトの案内によると、石臼は「真言を唱えながら、入れてある香を杵をもって自分の年の数だけつけば、身・口・意の三業の罪悪を破滅し、無病延命が得られる」と伝えられているものです。厄坂を上がる途中で立ち寄れる場所にあるため、男厄坂に向かう前にあわせて行うことができます。

石臼の作法も、数え年の数だけ杵でつく点が随求の鐘と共通しています。薬王寺の厄払い作法に共通するのは「自分の年齢(数え年)の数を基準にする」という考え方で、自分が今何歳かを事前に確認しておくと当日の動きがスムーズです。

【厄坂参拝の基本ポイント】
・真言「おん ころころ せんだり まとうぎ そわか」を唱えながら一段ずつ上がる
・小銭は1円玉が一般的、仁王門近くで両替可能
・絵馬堂の石臼は数え年の数だけ杵でつく
・3坂すべて回ると合計136段
  • 真言は声に出すのが基本ですが、心の中で唱えても構いません
  • 石臼の杵つきは絵馬堂に置かれており、参拝動線の途中に位置しています
  • 数え年は満年齢に1を加えた数が基本です(1月1日以降に誕生日が来ていない場合は2を加えます)
  • 厄坂の参拝自体に料金はかかりません

護摩祈祷の申込み方法と料金の目安

薬王寺の護摩祈祷は、境内の厄坂参拝とは別に、願主の名前と願意を登録して僧侶に祈祷を依頼するものです。来山して申し込む方法と、遠方から郵送・電話・オンラインで申し込む方法があります。料金は種類によって異なるため、目的に合ったコースを事前に選んでおくとよいでしょう。

来山して申し込む場合の流れ

薬王寺公式サイトの案内では、来山の場合は寺務所および御祈祷受付所に備え付けの申込用紙に必要事項を記入し、受付所で手続きするよう説明されています。申込みが済むとお札が渡されるので、受け取ったうえで参拝して帰ります。

護摩祈祷は翌日の早朝に修行されるのが基本で、来山当日にその場で護摩の火を前にして祈祷を受ける「即座」の種類と、後日継続して祈祷が行われる種類があります。特別護摩供(5万円)・別座大護摩供(10万円)・大般若大護摩祈祷(20万円)の3種類は即座に本堂で護摩祈祷が修行される形式で、これらを希望する場合は午後3時頃までに来山して申し込む必要があります。

遠方から申し込む方法

薬王寺公式サイトによると、来山が難しい場合は電話・郵便・公式サイトのオンラインフォームからも申込みができます。電話番号は0884-77-0023です。オンラインでの申込みは公式サイトの祈祷申込みページから行い、郵送でお札が届く仕組みになっています。

遠方在住のため参拝が難しいという事情があっても、祈祷を依頼すること自体は可能です。ただし、特別祈祷・別座大護摩供・大般若大護摩祈祷は来山が前提の内容となっているため、これらの祈祷を希望する場合は直接問い合わせておくとよいでしょう。

護摩祈祷の種類と料金一覧

日本人女性が薬王寺の厄坂を上る参拝方法

薬王寺公式サイトに掲載されている護摩供規定(2024年時点)は以下のとおりです。なお、料金・種類は変更になる場合があるため、最新情報は薬王寺公式サイト(yakuouji.net)の「御祈祷のお申し込み」ページで確認してください。

種類祈祷内容料金
1座祈祷1回祈祷3,000円
3座祈祷3日間祈祷5,000円
1ヶ月祈祷1ヶ月間祈祷10,000円
6ヶ月祈祷6ヶ月間祈祷20,000円
1ヶ年祈祷1年間常祈祷30,000円
特別護摩供即座に護摩祈祷+1年間常祈祷50,000円
別座大護摩供即座に理趣三昧・護摩祈祷+1年間常祈祷100,000円
大般若・大護摩祈祷大般若転読・護摩祈祷法会200,000円
  • 1座祈祷・3座祈祷は比較的手軽に申し込める種類です
  • 特別祈祷・別座大護摩供・大般若大護摩祈祷は来山のうえ午後3時頃までの申込みが必要です
  • 交通安全(車)の祈祷は電話または当日受付で申込みができます
  • 最新の料金・受付条件は公式サイトまたは電話(0884-77-0023)でご確認ください

随求の鐘と境内のその他の厄除け作法

薬王寺の境内には、厄坂と護摩祈祷以外にも厄除けや祈願に関わるスポットがあります。参拝ルートの中で自然に立ち寄れる場所が多いため、それぞれの位置と作法をあらかじめ把握しておくと充実した参拝になります。

随求の鐘の打ち方と真言

瑜祇塔のそばに設置されている随求の鐘(ずいぐのかね)は、大随求菩薩の真言を唱えながら数え年の数だけ鐘を叩いて厄災消除を願う場所です。薬王寺公式サイトでは「大随求菩薩の真言には、災いと罪を払う功徳があるとされる」と説明されています。

大随求真言は「おん ばらばら さんばら さんばら いんじりや びしゅだに うんうん ろろしゃれい そわか」です。鐘を叩く回数は数え年の数と決まっているため、自分の数え年を事前に確認しておくとよいでしょう。数え年は満年齢に1を加えた数が基本です(誕生日前の場合は2を加えます)。

戒壇巡りと瑜祇塔の見どころ

還暦厄坂を上りきった先にある瑜祇塔(昭和38年建立、高さ29m)は、薬王寺のシンボルとも言える建造物です。上部が四角形、下部が円筒形という独特の形状は、天と地の和合を説く『瑜祇経』の教理を形として表したものです。塔内への拝観は有料となっています。

瑜祇塔の地下には戒壇巡りの道があります。漆黒の闇の中を左の壁をさわりながらすり足で進んでいくと、中心部に薬師如来と日光・月光の両菩薩が安置された場所へたどり着く構造になっています。薬王寺公式サイトでは「日常での迷いや苦しみの中、一条の光の如く手を差し延べ、救ってくださる薬師如来と縁を結んでいただく場所」と説明されています。

肺大師の霊水と境内の七福神スポット

本堂の裏手には「肺大師」と呼ばれるスポットがあります。薬王寺公式サイトによると、祠の足元からラジウムを含んだ霊水(瑠璃の水)が湧き出しており、肺病など諸病に効くといわれています。境内を奥まで歩いていくと自然に通りかかるエリアにあります。

また境内には阿波七福神霊場のひとつとして寿老人が祀られており、無病息災・厄除・長寿の御利益があるとされています。境内を一周するだけで複数の祈願スポットに立ち寄れる構成は、薬王寺の参拝体験の特徴のひとつです。

【境内の主な厄除けスポット一覧】
・厄坂(女33段・男42段・還暦61段):賽銭を置きながら真言を唱える
・絵馬堂の石臼:数え年の数だけ杵でつく
・随求の鐘:数え年の数だけ鐘を叩く
・戒壇巡り:瑜祇塔地下で薬師如来と結縁する
  • 戒壇巡りは瑜祇塔内の有料拝観エリアに含まれます
  • 肺大師は本堂裏手に位置しています
  • 寿老人は阿波七福神霊場としても知られています
  • 境内を一周する所要時間は、ゆっくり参拝して30〜60分ほどが目安です

参拝に向けたアクセスと御朱印(納経)の受け方

薬王寺への参拝を計画する際に確認しておきたいのが、アクセス方法と納経所の受付時間です。四国八十八ヶ所のお遍路参拝を兼ねる方にとっては御朱印(納経印)の受け方も重要な情報のひとつです。

薬王寺へのアクセス情報

薬王寺の所在地は、徳島県海部郡美波町奥河内字寺前285-1です。薬王寺公式サイトのアクセス案内によると、電車利用の場合はJR牟岐線「日和佐駅」下車で徒歩約10分です。JR徳島駅からは特急で約60分かかります。

車の場合は、徳島自動車道の徳島ICから国道55号線を南下して約1時間10分の距離です。専用駐車場は500台(無料)が完備されており、普通車350台・マイクロバスおよび大型車10台に対応しています。駐車場の利用時間は午前7時から午後5時です。

遠方からのアクセスとしては、東京・大阪・神戸などから高速バスで徳島駅まで入り、そこからJR特急に乗り換える方法がよく使われます。最新の時刻や運賃は各交通機関の公式サイトでご確認ください。

納経所(御朱印受付)の場所と時間

四国八十八ヶ所の納経(御朱印)の受付時間は、薬王寺公式サイトの案内でも7:00〜17:00と確認できます。この時間は境内の開門時間とほぼ一致しています。お遍路の参拝では、本堂と大師堂でそれぞれ読経した後、納経所で納経帳または納経軸に御朱印を授かるのが基本の流れです。

納経所は仁王門前の瑠璃閣に設けられており、境内に入ってすぐのわかりやすい場所にあります。四国八十八ヶ所の納経料についての最新情報は、四国八十八ヶ所霊場会の公式案内(shikoku88.or.jp)またはお寺の窓口でご確認ください。

薬王寺で厄払い後の御朱印を受けるタイミング

厄払い参拝と御朱印(納経)はそれぞれ別の場所で行いますが、参拝動線として自然につながります。仁王門を入って厄坂を上り、本堂・大師堂で参拝と読経を済ませてから、来た道を戻るか仁王門近くの納経所に向かう流れが一般的です。護摩祈祷を申し込んだ方は、お札を受け取ったうえで本堂へお参りするよう案内されています。

薬王寺には宿坊もあります(予約専用電話:0884-77-1138)。遠方から訪れる方が1泊して翌朝の護摩祈祷に近い時間帯に参拝する使い方もできます。宿坊には温泉も完備されており、参拝後にゆっくり過ごせる環境が整っています。

確認事項内容
開門・納経受付時間7:00〜17:00
電車アクセスJR日和佐駅から徒歩約10分
車アクセス徳島ICから国道55号経由で約1時間10分
駐車場500台・無料(7:00〜17:00)
宿坊あり(要事前予約、温泉付き)
祈祷の問い合わせ0884-77-0023

まとめ

薬王寺の厄払いは、厄坂に小銭を置く個人の参拝作法と、護摩祈祷という僧侶による公式な祈祷の2種類を軸に構成されており、随求の鐘や石臼の杵つきなども境内の巡拝の中で行うことができます。

はじめて参拝する場合は、まず仁王門をくぐり、薬師如来の真言「おん ころころ せんだり まとうぎ そわか」を心に置きながら女厄坂・男厄坂の一段ずつに小銭を置いて上がり、本堂で参拝する流れを試してみてください。それだけでも薬王寺ならではの厄払いの体験になります。

1200年以上にわたって多くの人の祈りを受け止めてきた場所に立つことは、それ自体が参拝の意味を持ちます。訪れるたびに気づきがある場所ですので、ぜひ一度、足を運んでみてください。

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